通信機器開発・ノキアのCEOであるペッカ·ルンドマルク氏が先ごろ、世界経済フォーラム2022年総会で、2030年ごろにはデジタル設備を直接人体にとりつける通信規格6Gが実用化され、スマートフォンが淘汰されると述べた。
この言葉は、フェイスブックを創設したザッカーバーグ氏が6年前に発したものと同じである。ザッカーバーグ氏は当時、アリババ創業者のジャック・マー氏と語り合った際に、技術は15年ごとに世代交代し、スマホも例外ではないと述べていた。
アップルが2007年に初代のスマホiPhoneを発表してから、今年で奇しくも15年となる。
スマホが後退ムードにある兆しもそこここで見られており、携帯市場でのノキアの牙城が崩れてから数年、また一つの時代が幕を下ろそうとしている。
2022年、世界のスマホ出荷台数は第一四半期におよそ10%減少し、年間ではさらに落ち込むと複数のリサーチ会社が見ている。GfKによると、2022年、中国のスマホ販売台数は10年前のレベルとなる3億台に減るとのことである。
中国情報通信研究院によると、今年1-4月の国内の携帯電話出荷台数は、前年より30.3%下がって8742.5万台であった。
携帯大手3社のシャオミ、OPPO、vivoはサプライヤーに対し、4月以降の発注量は予定より20%ほど減少すると伝えている。
こうしたスマホの後退ぶりは、予想より早く、また急激なものである。峠を越えたのは2018年であった。
数年間伸び続けてきた出荷台数は2018年から下り坂となり、猛然と普及を始めた5Gの勢いをもってしても、この流れを食い止めることはできなかった。
2020年には出荷台数が10%ダウン、2021年はプラス6.6%と持ち直したものの、2015年とほぼ同じ14.19億台にとどまった。
さらに2022年に入り、Counterpoint Researchによると、第一四半期の世界の出荷台数は前年同期比で7%減、前期比で12%減となる3.28億台であった。中芯国際のCEO・趙海軍氏は、2022年の世界のスマホ販売台数は2億台減り、その分はほとんどが中国品であると見ている。
秋風が吹く中国の携帯市場で、消費側だけでなく生産側も衰えが広まっている。
中国国融証券によると、2021年の中国のスマホ普及率は97.4%で、限界に近付きつつあるという。これからは切り替え需要に頼ることになるが、今はその間隔が長くなる傾向にある。
Counterpointによると、今の中国の買い替え期間は31か月余りで、2017年の22か月からだいぶ伸びている。Vivoの執行副社長である胡柏山氏によると、世界のスマホの平均利用期間は36か月で、目玉となる新商品でもない限り、この期間はさらに伸びるとのことである。
スマホの黄金時代は、終焉を迎えたようである。
(中国経済新聞)