中国で最大規模の食品通販「三只松鼠」が、経営困難のために331店舗を閉鎖すると発表した。
安徽省蕪湖に本社のある三只松鼠は2012年2月16日に設立され、ナッツ、干し肉、ドライフルーツ、スナックなどのお菓子類を取り扱っている。
2019年7月に深セン証券取引所で上場を果たし、「お菓子の初上場」と言われた。この年の売上高は、菓子業界として初めて100億元を超えた。
ところがコロナの影響により、ここ2年間で株価が270億元近く値下がりし、300店以上を閉店している。業界トップに上り詰めた人気企業はどのような経路をたどったのだろうか。
三只松鼠は、従来の食品ブランドとは異なり、当初からリアル店舗を持たず、また工場も持たずにすべて通販に頼る経営をしていた。
2019年には売上高が100億元を超え、このうちネットでの販売分が9割であったが、2021年にはその割合が6割に下がっている。
通販によるメリットが縮小し、客集めにかかるコストが増えるにつれて、通販頼みだった成長モデルが頭打ち状態となったのである。
こうしたコスト増や売上減のほか、販売費用も年々かさんでいる。アプリの運営やプロモーションにかかる費用は2018年の4億元から2021年には13億元に膨らみ、またその割合も27%から64%に増え、重大な負担となってしまった。
こうした中、三只松鼠は現場での販売拡大に乗り出した。2019年に、1年間で1000店舗をオープンし、2022年末には「現場1万店」を目指すとの計画を発表した。
しかし、1万店どころか1000店達成も怪しい状態となっている。
「われわれはお菓子は作らない。お菓子の運び屋だ」とのイメージだった会社は、外注先への過度な生産依存により運営体制が脆弱になっており、これにコロナの影響も加わって、生産・販売ともにも落ち込んでしまった。
去年1年間で331店を閉鎖した三只松鼠は、全国的なコロナ禍に見舞われている2022年前半も一段と閉店ラッシュが進むものとみられる。
(中国経済新聞)