かつて中国でテレビのNO.1企業だったTCLが、半導体業務の大幅な刷新により、V字回復を果たしている。
TCLグループ が4月29日に発表した2021年の決算によると、売上金額は前年比65%増の合計2523億元(約4兆8866億円)、また利益は同じく129%増の171億元で、ともに過去最高をマークした。この規模は世界の上位500社のレベルに至っている。
TCLグループは、TCL科技(4.070, -0.04, -0.97%)とTCL実業の大手2社で構成され、主力業務は半導体ディスプレイ、太陽光発電・半導体材料、スマートデバイスの三分野である。
TCLの創業者である李東生社長は5月9日、メディアを前に「一にモデルチェンジ、二に統合再編、これでTCLは2021年にパワーアップした」と述べている。
グループ内でかなりの割合を占めるパネル業務を手掛けるTCL華星は去年、まるで相反する局面を味わっている。
2020年9月から2021年8月にかけて、コロナの影響によりディスプレイの需給が大幅に増え、上昇ムードで製品価格が急騰し、TCL科技の2021年の業績を大きく押し上げた。
ところが、2021年9月から現在まで、パネルは生産過剰や供給減などにより大きく値下がりしている。
この影響でTCL科技は2022年第一四半期、売上こそ前年同期比26.18%増の405.98億元であったが、利益は43.73%も下がり、13.53億元であった。
李社長は、パネル業務は周期性が強く、チップと同じように技術要件が高くかなりの投資が必要であり、建設に時間がかかることから、設備の完成後はそれを十分に活用しなくてはいけないと言う。経営効率を考えれば、設備の稼働率は極めて重要であり、品不足になったらたちまち値上がりし、供給過多であればすぐに値下がりする。
但し李社長は、産業経営の論理自体から見て、すでに底を打ったと見ている。
TCLによると、TCL華星は今後、MNTや車載品、広告ディスプレイなどで製品構成を改善し、テレビや携帯電話以外の業務を増やしていくという。華星はまた、広州のT9事業でミドルサイズのディスプレイの生産を増強するほか、インドではモジュール工場が稼働を始めたことで業務が拡大する見込みである。
(中国経済新聞)