債務危機に陥った中国の大手スーパー「蘇寧易購」が、5月5日に売買を停止し、翌6日に銘柄略称を「ST易購」に変更すると発表した。
蘇寧易購は去年1年間、売上高が前年より44.94%下がって1389億400万元(約2兆7260億円)に、また赤字額は同じく5倍以上増えて432億6500万元(約8491億円)を計上した。
赤字となったのは上場から18年間で二度目であり、またその額は2010-2019年の10年間の利益総額に匹敵する。
4月29日に発表した今年第一四半期の決算によると、売上高は前年同期比で64.13%ダウンとなる193億7400万元(約3802億円)、また4億5600万元の黒字だった前年同期から一転し、10億2900万元(約202億円)の赤字計上となっている。
こうした事態に陥ったのは、新型コロナによる影響のほか、スポーツ、エンタメ、デパートなど様々な業務や資産をこれまで買収し続けてきたことが大きな原因である。広範囲に及ぶむやみな拡大で、結局は債務危機にはまってしまった。
蘇寧易購は3月初め、蘇寧消費金融の株式の39%を、南京銀行およびフランスのBNPパリバに3億6900万元(約72億円)で売却すると発表した。
また、蘇寧易購が筆頭株主となっている免税店のLAOX(ラオックス)も、コロナの影響で閉店が相次ぎ、苦しい経営が続いている。
(中国経済新聞 山本博史)