上海の臨港エリアにこのほど、「国際水素バレー」がオープンした。水素の利用促進に向けて地域の中心的存在となるもので、素材や設備などの開発により水素事業のコストを早期に削減することが目標である。
氢晨科技(H‐RISE)の社長兼総経理である易培雲(Yi Pei Yun)氏は、「水素は交通分野でリチウム電池に匹敵する存在になり得る」と述べている。業界内では、燃料電池は2021年が元年で、2025年には急成長期を迎え、2030年には現在のリチウム電池のようになると見られている。
ただその急成長の前に、2つの問題が立ちはだかる。一つは燃料電池車の値段であり、易氏は「水素燃料の大型トラックは、以前180万元(3680万円)だったが今は130万元(2658万円)ないし120万元(2453万円)に値下がりしており、来年には100万元(2000万円)を切るだろうが、従来のディーゼル車は大体40万元(800万円)程度で、依然開きがある」と言う。
もう一つは、水素自体が高価で入手も難しいことである。「これもコストの問題」と易氏は言う。
燃料電池車の普及について易氏は、①政府が指定した五大都市群での補助金支給、②内モンゴル自治区、ウイグル自治区、チベット自治区など風力や太陽光発電を十分に抱えた地域で水素を安価でエコ生産したうえ、発電収益分で水素を購入、③山西省、陝西省など化学工場の排ガスによる水素がふんだんな地域で、運営コストを抑える形で水素の購入に割り当てるというビジネスモデル、という3つのコスト削減モデルが形成されたと見ている。
易氏は、この3つのモデルをベースに「燃料電池車を2025年に20万台、2030年に200万台に増やす」というある機関の予測についても、「十分に達成可能」と見ている。
しかしその前に、水素事業におけるコストの急減が必要である。
これについて易氏は、①「技術を急速に革新することで同じ容積や原材料で発電量を増やす」といった技術主導方式、②「触媒、膜電極、カーボン紙など、スタックにあるものは元々どれも輸入品だったが、今は素材の90%以上が国産化されており、こうなればコストはすぐに下がる」といった産業チェーンの国産化、③燃料電池車の販売台数が1万台、そして10万台となればスケールメリットが発生、という3段階でのコストダウン展開を想定している。
これらを時期で分けるなら、「2022年までが技術主導式、2022~2025年が産業チェーン国産化、2025年以降がスケールメリットの発生、と易氏は見ている。
(中国経済新聞)
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