20年前、広東省佛山市順徳区は、すでに世界有数のコーヒーメーカー生産拠点となっていたが、当時は世界生産のシェアを獲得することに躍起になっていた。そうした頃と比べると、順徳区は今でもコーヒーメーカーの重要な生産拠点ではあるが、生産シェアはもはや焦点ではなくなった。地元の企業家たちは技術革新、ブランド化、国境を越えた統合について語るようになっている。順徳区の現状は、まさに中国の小型家電業界が転換期を迎えようとしている代表例といえよう。
中国の大手業務用コーヒーメーカー「格米莱(GEMILAI)」の謝建萍会長はコーヒーの世界地図を前に「コーヒー豆からカップに注がれるまで、いかに美味しいコーヒーを作るかイタリアには厳しい基準があるが、私たちも中国企業にしかできない特色を持ったコーヒーメーカーを作りたい」と話した。
今年、中国の家電市場が全体的に落ち込む中、コーヒーメーカーはその流れに逆らい成長を続けている。市場調査を手がける奥維雲網(AVC)によると、2022年アリババグループが運営するBtoC-ECサイトの天猫(テンマオ、Tmall)におけるコーヒーメーカーの売上は6カ月連続で増加し、前年比成長率は最大で200%以上となっている。また、家電市場のリサーチを手がけるGfK中怡康によると、中国のコーヒーメーカーは大幅に改良されており、ここ数年はドリップ式の製品が徐々に減ってきている。2022年上半期の時点で、オンライン市場におけるドリップ式コーヒーメーカーの販売シェアは8.2%にとどまり、23%減少した一方で、エスプレッソマシンはセミオートを中心に徐々にシェアを拡大している。
中国のコーヒーメーカー市場は力強く成長しており、かつてのOEMメーカーも独自のブランドを築き始めている。コーヒーメーカーOEM大手の広東新宝電器股份有限公司(Guangdong Xinbao Electrical Appliances Holdings Co.,Ltd.以下、新宝電器)は、中国国内の家庭用コーヒーメーカー市場に進出し、買収したイタリアブランドBarsettoの名を冠して、半自動エスプレッソマシンに力を入れている。新宝電器は2022年8月のIRイベントで、コーヒーマシン・ブランドBarsettoは数量が比較的少ないものの、上半期の業績は概ね好調で、今年7月から8月にかけて堅調な成長が続いていると明らかにした。
GfK中怡康によると、近年、中国のコーヒーメーカー市場は加熱し、製品のアップグレードが止まらないが、爆発的な市場成長からは一歩遠ざかっている。中国の茶文化は深く、コーヒーメーカー市場はまだ比較的ニッチであり、インスタントコーヒーと挽きたてのコーヒーが高い割合を占めている。中国はコーヒーメーカーの世界的な生産拠点であり、生産されたコーヒーメーカーは世界中に輸出されているが、輸出を行っている企業のほとんどがOEMとなっている。
今後、若い消費者の間でコーヒー文化が更に浸透していくと予想される中、中国のコーヒーメーカー市場はまだまだ改善の余地があり、市場の育成が必要とされる。
(中国経済新聞)
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