中国では各地でコロナがぶり返しており、文化や観光事業が先の読めない状態となっている。映画制作大手の「華誼兄弟」は、1年余り続いた低迷を2021年に脱け出して黒字転換を果たす予定であったが、2022年に入っても苦しい経営が続いている。
華誼兄弟が4月末に発表した2021年の決算報告によると、売上高は前年比6.73%減の13.99億元、赤字額が2.46億元であった。赤字は2020年の10.38億元よりだいぶ減ったが、それでも苦境を脱するには至っていない。
また、今年の第一四半期の赤字額は1.32億元となっている。
華誼兄弟は、以前に映像業界に対する政府の粛清の影響を受けて株価が大きく値下がりしており、4年間で都合64億元(約1253億円)以上の赤字を蒙ったという。
2021年には、銀行利息だけで売上高の16%にあたる2.24億元に達している。累積赤字額は45.42億元で、うち流動負債が29億元以上である。
華誼兄弟はこれを挽回するため、ここ数年間、オフィスや美術品などを大量に売却し、6.1億元を集めた。しかし、今年はそこまで売ることはないだろう。
このような状態に陥っているのは、華誼兄弟だけではない。
中国映画リサーチ会社の芸恩によると、第一四半期の興行収入は前年比22.7%減の140.0億元で、2016年以前のレベルであった。中でも3月の落ち込みが激しく、前年比で63.5%減り、2013年以来の低水準となっている。
こうした結果で、民間の映画やドラマの制作会社を中心に映像業界は一段と経営が苦しくなり、2022年には倒産する会社もあると見られる
(中国経済新聞)