鉄観音茶文化、内蒙古草原遊牧、乾地農業石堰棚田は世界農業遺産に認定 

2022/05/21 22:43

5月20日、国際連合食糧農業機関(FAO)は中国の3地域——内蒙古(内モンゴル)自治区赤峰市阿魯科爾沁鎮の草原遊牧システム、福建省泉州市安渓県の鉄観音茶文化システム、河北省邯鄲市渉県の乾地農業石堰棚田システムは、それぞれ伝統的方法と知識を利用し、生物の多様性と生態系を保護しているとして、世界農業遺産(GIAHS)に認定したことを明らかにした。

中国人民網の報道によると、認定の標準は、遺産のあるエリアに世界的な重要性と公共財としての価値が備わっていること、食糧の安全保障、生活の安全保障、農業生物多様性、知識体系、社会的価値観と文化に与すること、景観が優れていることなどと規定される。

現在、世界にはFAOが認定した世界農業遺産が65地域あり、うち18地域は中国にある。

(1)福建省泉州市安渓県の鉄観音茶文化システム

安渓は福建省の南東部に位置し、10世紀に茶の生産が始まったと伝えられる。この地域で最も有名な「鉄観音茶」の歴史は18世紀に遡り、半発酵タイプのウーロン茶だ。

現地の茶農家は自然環境を管理することで茶の木の栽培に最良の条件を確保し、質の高い茶葉を生産する。こうした方法は代々伝承され、現地の茶園生態システムの長期的安定性と持続可能性を確保してきた。

(2)内蒙古自治区赤峰市阿魯科爾沁鎮の草原遊牧システム

中国北部の内蒙古地域にある阿魯科爾沁鎮の草原遊牧システムは、中国で初めて世界農業遺産に選ばれた遊牧農業遺産地域であり、世界の持続可能な牧畜業と脆弱さを抱えた牧場の管理のモデルでもある。さまざまな証拠から明らかなように、新石器時代から人類はこの地で狩猟や遊牧を行なってきた。その後、この地域で主流の蒙古族の人々は環境の変化に適応して、伝統的遊牧生産の生活様式を今にとどめることに成功した。

この地域の生態系は多種多様で、森林、草原、湿地、河川などすべてが重要な生態系機能を果たす。遊牧民は絶えず移動して放牧をし、植生は保護され、水資源は合理的に利用され、土地の劣化や過剰な放牧が回避され、現地の肉製品やチーズなどの製品の安定した供給が保障される。

(3)河北省邯鄲市渉県の乾地農業石堰棚田システム

河北省邯鄲市渉県の乾地農業石堰棚田システムは中国北部の河北省で行なわれ、雨水農業システムとして、その歴史は13世紀まで遡る。現地は山間部の乾燥した気候で、自然環境は厳しいが、石堰棚田が急斜面を利用した農業の条件を整え、現代に至るまで重要な役割を果たし続けている。現地の人々が安定した生活を送れるようにするとともに、土壌が少なく降水量も少ない北方の石灰岩質の山間部におけるエコ循環型の持続可能な農業のモデルを作り出した。

渉県の石堰棚田はよく知られたクルミや花山椒だけでなく、アワ、トウモロコシ、大豆、マメガキやその他の農林産品でも有名だ。何世紀にもわたり、現地の人々は環境保護に配慮した農耕技術でさまざまな種類の作物を栽培し、自分たちの生活や発展のニーズを満たすだけでなく、壮麗な棚田の景観を作り出し、人と自然が調和し共存する姿を示してきた。

(中国経済新聞)