コロナが依然猛威をふるう上海市内で、一部の企業が操業再開を認められている。地元政府によると、許可した企業のうち80%が活動を再開しているという。その現在の稼働状況を探ってみる。
ドイツのボッシュ。1886年にロバート·ボッシュ氏がシュトゥットガルトで設立し、自動車や新型交通技術、工業技術、日用品、エネルギー、建設技術を手掛けている。
上海ではコロナが再燃した3月中旬以降、業務を停止する企業が相次いでおり、ボッシュもその影響を受けていた。このところ感染が落ち着いてきたことから、地元の経済部門当局がボッシュも含む約2000社を対象に、二段階に分けて業務の再開を認めると発表した。
ボッシュ中国総裁の陳玉東氏は5月10日、現在の稼働具合について中国の「毎日経済新聞」に対し、「稼働割合は30%-75%で、製品や工場によってまちまちであり、はっきりとした割合は言えない。われわれ(工場)は、完全停止はしていないが、市場ニーズを満たせるだけの生産は無理だ」と語った。
陳氏は、「自動車のサプライチェーンは極めて広範囲であり、大手のサプライヤーはほぼ市が発表した再開対象となっているが、末端の業者はおそらく対象外だろう。そうなるとこちらの生産に支障が出る。ある小さな塗料のメーカーは再稼働できず、それが生産全体に響いていた。のちに色々と調整をはかりながら、ようやく再開にこぎつけた」。と陳氏は述べている。
直接の納入業者40社余り、間接の業者100社以上を抱えているボッシュは、生産の確保に向けてサプライチェーンについて上海市当局と話し合いをした。現在は直取引業者のうち30社余りが稼働を再開し、それ以外の各社も続々と活動を始めている。
陳氏によると、自動車のサプライチェーン稼働状況はまだ「小規模」という。「多くの工場がバブル方式での生産であり、数千人の社員が工場の中で寝泊りしている状態なので、日々の運営に莫大なお金がかかる。それにほとんどが稼働率不十分であり、業界全体の生産量に響いている。5月の生産量は需要に追い付かないだろう。とりあえずチップについて、今年の後半によくなって欲しいし、そうなれば来年は完全に好転するのではないか」との期待を寄せた。
いまだに緩和していない自動車用チップの品不足問題。上海のコロナで一段と悪化し、一部の自動車メーカーが製造中止に追い込まれている。
(中国経済新聞 土屋大輝)