1年以上なりを潜めていた中国のPCR検査機関や検査キット製造会社が、オミクロンの拡大で再び活況を呈している。
4月16日、中国の衛生健康委員会で臨床検査を担当している李金明副主任は、「新型コロナの発生以来、のべ115億人に対してPCR検査を行った」と述べた。
中商産業研究院によると、中国のPCR検査について、2020年の市場規模は121億元、2021年は132億元で、2022年は146億元にのぼると見られる。
一方、検査用キットの承認を受けた会社の数は、ここ2年間でさほど増えていない。国家薬品監督局は2020年6月、上場会社12社を含めた計27社による42種類の新型コロナ用検査キットを承認した。2022年初めにはその数が68種類に増えたが、取り扱い社数は34社であった。
相当数のPCR検査会社が、この2年間で懐を潤したのである。
また、同じく中商産業研究院の2021年第四四半期の統計によると、2021年1月~9月、PCR検査会社のうち上場社の売上の上位5社は、迪安診断、金域医学、達安基因,聖湘生物、邁克生物となっている。
今年の第一四半期を見ると、迪安診断は売上が前年同期比52%プラスの46.5億元、また利益は同じく122%も増えて7.5億元であった。また金域医学は売り上げが59%増えて42.5億元、利益は62.4%増の8.5億元であった。
一方、検査キットの規模は、2020年は108%増えて24.7億元、2021年は28億元であり、2022年は40億元を超えると見られる。ただし政府が売値を厳しく規制していることから、今年2月以降オミクロンが猛威をふるう状態でありながら、各製造会社とも利益が下がっている。
中国ではこれまでに30の省などで価格引き下げの通知が出ており、山東省、広東省など5地域では1人あたりの採取価格が6元、新疆ウイグルでは3.5元まで下がっている。また北京も5月2日、それまでの5.9元から全国最低となる3.4元に値下げすると発表した。
上海のあるキット製造会社によると、1人分あたりの生産コストは3元から5元という。現在の政府指定価格を見ると、利益はほとんどゼロとなる。
キット製造の大手「華大基因」の第一四半期決算を見ると、売上高は前年同期比8.5%減の14.3億元、利益は同じく37.1%減の3.30億元であった。
PCR検査については各社とも大儲け、だがキット製造については業績ダウンという状態である。その検査業界も、今年上半期が最後の活況となるのだろうか。
(中国経済新聞 林夕)