中国の高級車市場について、証券監督会の最新データでは8月の登録台数が前年比14.6%増、前月比9.2%増の35.6万台となっている。今年は3月以降、コロナやサプライチェーンの影響で不振が続いたが、7月になってようやく徐々に回復している。8月は各ブランドとも売行き好調であり、乗用車市場全体(登録台数190.4万台)に占める割合も過去最高の18.7%となっている。
8月度のメーカー別に見た登録台数上位10社のうち、売上台数が減ったのは紅旗とレクサスのみで、主な高級車ブランドでは一線級各車が安定成長してかなりのシェアを維持している。「御三家」のベンツ・BMW・アウディの売上台数は順に7.1万台、6.6万台、6.5万台で、3社の差は縮小しつつある。二線級ではキャデラック(2.0万台)、レクサス(1.9万台)、リンカーン(8283台)がベスト10に食い込み、うちリンカーンは大幅増を果たしたがキャデラックは前年比わずか1%の増加、レクサスは6.8%減となっている。これら二線級はこのところ御三家からシェアを奪おうとしながら攻め切れない状態である。
ただし、販売台数ベスト10ではテスラや中国の新興メーカーが名を連ねており、高級車市場の勢力地図はある程度塗り替えられている。8月は、テスラが二線級各社を抜いて御三家に次ぐ3.6万台を売り上げ、蔚来汽車(NIO=ニオ)も1.1万台で9位に食い込んでいる。このほか中国勢では、理想汽車(リ・オート)、BYD、高合汽車(HiPhi)などが30万元(600万円)以上の市場で存在感を示している。
さらに、8月の高級SUV(30万元=600万円=以上)の売上ランキング上位10車種では、テスラのModel YがベンツのGLC、アウディのQ5、BMWのX3などを抜いてトップに立った。また「理想ONE」はかなり数字を落としたものの10位を確保した。高級セダンでは蔚来のET7がベスト10入りしている。
高級車市場は、新興メーカーの進出により品種が豊富になっている。蔚来(NIO)、小鵬(シャオペン)、理想(リ・オート)といった新興大手3社のほか、極氪(ZEEKR)、問界(Wenjie)、智己(IM Motors)なども高価格帯のモデルを打ち出し、シャオミやバイドゥなども参入間近である。一方、EVについては従来メーカーが30万元(600万円)以上のタイプを出してはいるが、売行きは振るわず、公開データによると、ベンツのEQA、BMWのi3、フォードのマスタングはいずれも月間販売台数が1000台程度にとどまっている。新エネ車の普及が進む今、既存の高級ブランドもEV市場で追撃への足取りを加速しなくてはならない。
(中国経済新聞)
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