ドイツの卸売専門スーパー「メトロ」の中国最高執行責任者である陳志宇(Chen Zhiyu)氏は、サムズ、カルフール、アリババ系の盒馬(Hema)といった会員制の小売スーパーが続々と出現している現状に合わせ、中国で新規にオープンする店はすべて会員制とすると発表した。また今後は全店舗を会員専用として、法人向けの「B市場」および個人向けの「C市場」で営業するという。
メトロは、他の小売大手やスーパーとは異なり、これまではB市場を中心として卸売り販売に重点を置き、会員の会費も無料としていた。ところがここ数年、スーパーは競争が激しくなって利益が伸びず、小売各社が利益の出る有料会員制の導入に踏み出している。サムズ、カルフール、盒馬などが会員制となり、大手のCOSTCOもシェア争いに参入している。よってメトロも有料会員制を打ち出し、B市場モデルからC市場モデルへと切り替えてこの争いに加わっている。
陳氏は、「会員制というスタイルは成長段階であり、伸びる余地は大きいと見ている。メトロは今、中国60以上の都市で100店舗以上あり、このうち22店が会員制である。ここで言う会員制とは、店が有料会員を対象とすることであり、B市場中心だったこれまでの店に比べて、C市場の消費者を中心としつつB市場も対象としている。よって品目もサプライチェーンも個人や家族が買うような商品に切り替えている」と述べている。
各社の年会費を見ると、メトロのカード「PLUS」は199元(約4000円)で、サムズは一般会員が260元(約5300円)、プレミアム会員が680元(約13800円)、COSTCOは299元(約6100円)、カルフールは258元(約5300円)とのことである。
業界的に見て、会員制における競争力の軸はサプライチェーンである。COSTCOやサムズは多くの仕入れ先に対して独占供給またはオーダー制を導入しており、価格を支配できるので、サプライチェーンの面で圧倒的に有利である。一方でメトロや盒馬は食料品やB市場の仕入れに強みを抱えている。会員制による競争は始まったばかりである。
(中国経済新聞)
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