新興自動車メーカーの威馬(WELTMEISTER)、経営難で管理職5割、一般社員3割賃金カット

2022/10/29 09:00

中国の新エネ車メーカー「威馬」(WELTMEISTER)が「一般社員は賃金3割カット、管理職は5割カット」という財政緊縮案を社員あてに連絡したと複数のメディアで報道されており、同社の賃金問題が改めて批判を浴びている。

威馬の目論見書によると、創業者であり会長兼CEOである瀋暉(Pan Hui )氏の2021年の年俸は、会社の収入の3割近くを占める12.62億元(約256億円)である。ただし、この12.60億元(約256億円)は会社が上場を果たさないと本人の手には渡らない。

社員の話では、「一般社員3割カット、管理職5割カット」は10月分からという。その後の界面新聞の続報では、会社に近い筋の情報として「『幹部の賃金50%自主返納』も含めた財政緊縮策などにより、厳しい経営状態を乗り越えたい」との話を伝えている。

威馬の決算データを見ると、2019-2021年の3年間で収入が計91.77億元(約1858億円)となっているが、この間に計174億元(約3524億円)の赤字を計上しており、そもそも収益が出ない体質となっている。

各新興自動車メーカーの今年1月~9月の売上台数を見ると、「蔚来汽車」(NIO)が8.24万台、「理想汽車」(Li Auto)が8.69万台、「零跑汽車」(Leap Motor)が8.76万台、「小鵬汽車」(Xiaopeng)が9.86万台、「哪吒汽車」(Neta)が11.12万台となっている。一方で威馬はわずか2.90万台と完全に水をあけられている。威馬は、上場後の累計販売台数が「哪吒汽車」の今年1月~9月とほぼ同じ約11.2万台という状態である。

瀋氏は2018年に、「年間販売台数が10万台に満たないと生き残れない」と判断していた。今年は各社のうち哪吒がすでにこのラインに到達しており、蔚来・小鵬・理想の主力3社と零跑がこれに届きそうな状態で、威馬は1人負けしている。

(中国経済新聞)

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