中国の検索大手・バイドゥは、2021年1月に国産自動車大手の吉利とタッグを組んで車作りに参入すると発表し、その2か月に電気自動車(EV)製造の「集度汽車」を発足させた。出資率はバイドゥが55%、吉利が45%で、シェア自転車「モバイク」を立ち上げ最高技術責任者を務めていた夏一平氏をCEOに据えた。
集度汽車は、バイドゥが商品を位置づけ、吉利がプラットフォーム「浩瀚(SEA)」と生産設備を提供する形となった。いわば、「大脳」を備えた上でEVの神経や胴体を作り始める、となったわけである。
バイドゥはこの事業で、自動運転システムの提供者として中国各地でデータの収集に明け暮れた。2021年9月末までに、計35か所で走行テストを行っている。
しかし集度はいかんせん、創業わずか1年5か月の新しい会社である。
バイドゥは、吉利のプラットフォームによって最初の車をラインオフしたが、自動運転の研究を9年も進めた末の「自動車ロボット」の発表に対し、遅きに失したとの視線が注がれた。
自動車の高機能化について現在、欧米や日本は相当のレベルに達しており、各ブランドのコンセプトカーで自動運転あるいは無人運転機能を備え、量産まで始まっている。高級EVでは、マルチレーザーレーダー、ハンドル不要技術、高精度マップにおける複雑な環境での走行、運転席におけるマシンとのコミュニケーションなどが普通に取り入れられている。
よって、蔚来、小鵬、理想といった新興のEVメーカーがマーケットを占領している中国で、バイドゥが見所ある自動運転を披露するのは相当難しいと見られる。
車作りがトレンドとなった今、生き残りを左右するのは時間である。バイドゥはやはり、時間に敗れたようである。
(中国経済新聞)