ロックダウンで大学生のうつ病発生率が激増

2022/05/26 10:05

新型コロナウイルスによる「学生の精神疾患」が問題視されている。北京大学と同大学付属第六医院が2020年6月~7月に行ったアンケートによると、武漢の大学30校に通う学生1.1万人以上のうち、うつ病の症状を発したのが41.52%、焦燥感を覚えた人が32.58%、不眠が35.00%で、さらに自殺を考えた人が218人、自殺未遂が11人とのことである。
18歳の女子大学生である戴暢さんは、コロナ前の大学の姿をまったく知らない。2021年9月に西安の入学した戴さんは、その1か月後にコロナに見舞われ、クラスの全員が二次接触者として寮に一週間閉じ込められた。12月下旬には地元でコロナが悪化し、ルームメイトとともにまたも約20日間「ごろ寝」した。この半年間で覚えているのは、繰り返されるオンライン授業、緑色のついたて、それに「防護服」に鼻を突っ込まれた不快感である。


10数平方メートルに6人、寝返りを打つとベッドがぎしぎし鳴る。戴さんは、ルームメイトに聞こえないよう、布団をかぶってむせび泣いた。「ごろ寝」生活から一週間、早寝早起きという生活のリズムを維持できなくなり、まず食欲が減り、睡眠の質が急に落ちて、その後は横たわるとひとりでに涙がこぼれ落ちるようになった。
一番ひどかった時は、嫌な思い出がしきりに脳裏を駆け巡った。大学受験の失敗、パワハラやいらだちが繰り返される恋人との関係、仲間外れになりあざ笑われた高校時代、それから幼い頃の両親の激しい口論……陽の射さない北向きの部屋にいた戴さんは、一段と「脱出不能」を感じた。
2022年の年初、戴さんはおよそ20日間のごろ寝生活を終えてようやく西安から里帰りしたが、精神不安は収まらなかった。実家でも悲しみ、自殺を考えたりする気持ちが収まらず、不安感からしばしば大声で泣いた。2月、初めて精神科で診察を受けてうつ病と判断され、現在まで薬物療法を続けている。
コロナによるロックダウンで精神疾患に陥った戴さん。世界保健機関は今年3月、パンデミック中におけるうつ病や焦り、自殺願望といった精神疾患へのリスクは、若者層がひときわ高いと発表した。以前に悩みを抱えていた学生はなおさら「脆弱な層」という。
コロナにより大学生活が台無しになった若者たち。自己認識や異性との付き合い、スキルアップ、進路の選択などへの影響が心配される。

(中国経済新聞)