アメリカの食品医薬品局(FDA)が先ごろ、中国の製薬会社に対し、臨床試験のデータをベースにしたがんの治療薬2種類の申請を却下し、さらに多くの被験者データを提供するよう求めた。
第一財経日報によると、FDAが却下したのは中国の「和黄医薬」が開発した、膵臓および神経性の内分泌腫瘍の治療薬と、同じく中国のバイオ医薬品「君実生物」とそのパートナーであるCoherusが共同開発した鼻腔がん(NPC)の治療薬である。
FDAが中国製の新薬を却下したのは今回が初めてではなく、今年2月に「礼来医薬」とそのパートナー「信達生物」が共同開発した肺がん用の薬について、臨床データの範囲が足りないうえ、試験内容がFDAの基準を満たしていないとして却下している。
アメリカは新薬に対する購買力が強力であり、このところ中国のベンチャー企業が相次いでアメリカでの販売を目指している。FDAの今年2月のデータによると、臨床段階にある中国製医薬品が少なくとも25種類あるという。
中国バイオテックの投資家で、Loncar Investmentsを立ち上げたブラッド•ロンカー(Brad Loncar)氏は、「中国のバイオ医薬品メーカーはここ数年成長しており、かなりの国際臨床経験を積んでいる。和黄医薬も海外経験を有する人材を十分に備えており、その多くはグローバルな製薬大手での勤務実績がある。また最近、中国の医薬系ベンチャーが相次いで海外に臨床研究拠点を設けるようになっている」と述べている。
ただロンカー氏は、こうしたアメリカでの新薬販売を目指す中国企業に対して二つの提案をしている。「一つはアメリカの会社と提携すること。もう一つは海外での臨床経験を持つ人材を採用して自社で試験をすることだ。これにはかなりの費用がかかる」という。
(中国経済新聞)