融創、37億円の債務が返済不能に

2022/05/13 15:59

中国の不動産開発大手「融創中国」は5月12日、4月に相次いで満期を迎えるドル債券の利息返済ができず、債権者に心より謝罪すると発表した。今抱えている問題を処理するのにしばらくの猶予が欲しい、とのことである。

発表によると、利息額は合計1.04億ドル(約133億円)で、うち融創が発行し2023年10月に満期となるシニア債7.95%分が約2947.86万ドル(約37億8811万円)について、2022年4月11日の満期から30日を過ぎても未払いとなっている。

業務の軸に据えていた一、二線級の都市で3月以降にコロナの影響が顕在化し、3、4月は契約金額が前年を約65%も下回って、流動性が深刻な状態になっているという。

中国の不動産業界で5本の指に入る融創は、わずか数年間で急成長し、売上高3位に食い込んだが、今は利息分の37億円が支払えないという思わぬ状態に陥った。恒大グループに続く不動産業界の激震に、ネットでは「恒二世」などというニックネームまでつけられてしまった。

中国の不動産業界は、2021年後半から雲行きが怪しくなり、融創の売上高は8か月連続で落ち込んでいる。去年7月にマイナス5.55%を記録、その後も落ちる一方で、11月にはマイナス47%となった。さらに今年3月以降、主力市場としていた上海周辺、浙江省、江蘇省、広州、西安、成都などが軒並みコロナの影響を受け、3~4月の契約金額が前年より約65%も落ち込んだ。融創は、売上が完全に下り坂になったのに加え、流動資金の問題が発覚したことで融資も受けにくくなっている。

融創はこのところ、資金回収に向けて相次ぎ株を売却し、創業者である孫宏斌社長も連帯責任者として十分な返済意欲を示してはいるが、それでも37億円が期限を30日間過ぎても支払えない状態である。

中国政府は先ごろ、不動産市場の成長を改めて支える策を打ち出したが、融創が暗闇状態に置かれてしまったことが中国不動産界への新たな一撃となり、投資家や購入希望者の自信が大きく揺らいでしまっている。

(中国経済新聞)